夏の暑い日、冷房の効いた室内は快適ですが、ボーカリストにとってその環境は喉のコンディションを脅かす原因になり得ます。なぜなら、冷房による空気の乾燥と体の冷えが、声帯に大きな負担をかけるからです。
最高の声を維持するためには、夏特有の環境に合わせたケアが欠かせません。この記事では、夏の冷房が喉に与える影響と、ボーカリストが実践すべき具体的なケア方法を解説します。
なぜ夏の冷房がボーカリストの喉に良くないのか
夏の冷房が喉に良くないとされる理由は、主に「乾燥」と「冷え」です。
冷房は室内の水分を奪い、空気を乾燥させます。声帯は潤った粘膜に覆われていることで正常に機能するため、乾燥した空気は声帯の潤滑性を著しく低下させます。その結果、声帯に過剰な摩擦が生じ、声枯れや炎症といったトラブルを引き起こしやすくなるのです。
そして「冷え」の影響も無視できません。冷房の効いた部屋に長時間いると、体が冷えて血行が悪くなります。特に首周りの血行不良は、発声に関わる筋肉を硬直させ、声が出にくくなる可能性があるため注意が必要です。
また、暑い屋外と涼しい室内の急激な温度差は自律神経のバランスを乱し、体調不良につながることもあるため気をつけましょう。
夏の喉を守る!ボーカリストにおすすめの具体的なケア方法
夏のデリケートな喉を守るには、日々の細やかなケアが欠かせません。ここでは、実践すべき具体的なケア方法を3つのポイントに絞って解説します。
1. 加湿
喉の乾燥を防ぐため、部屋の湿度を50~60%に保つのが理想です。加湿器がない場合は、濡れタオルを干すだけでも効果があります。また、冷房の効いた場所ではマスクを着用するのも有効です。
2. 水分補給
体の内側から喉を潤すには定期的な水分補給が欠かせません。一度に大量の水を飲むのではなく、喉が渇いたと感じる前に、常温の水を少しずつ飲む習慣をつけましょう。冷たい飲み物は体を冷やし、喉の筋肉を収縮させる可能性があるため避けるのが賢明です。カフェインやアルコールは利尿作用があり、かえって水分不足を招くことがあるため注意してください。
3. 体を冷やさない工夫
冷房の設定温度は、環境省が推奨する28℃を目安にし、体を冷やしすぎないようにしましょう。また、夜はぬるめのお湯に浸かって体を芯から温めると、血行が促進され喉の状態を良好に保つことができます。
夏のパフォーマンスを維持するためにしっかりとケアをしよう
夏の冷房による乾燥と冷えは、ボーカリストの喉にとって大敵です。最高のパフォーマンスを維持するためには、そのリスクを理解し、日常的に適切なケアを行うことが欠かせません。
今回ご紹介した3つのポイントは、どれも少しの意識で実践できることです。冬場と同様に、あるいはそれ以上に夏の喉をいたわる意識を持ち、万全のコンディションで過ごしましょう。
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